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クールダウンとストレッチは本当に必要? 研究で分かっていることと、それでもやる理由

「練習のあとは、ちゃんとクールダウンしなさい。しないと、筋肉痛になるし、ケガをする」。多くの指導者が、そう教わり、そう教えています。

  • 対象指導者・保護者
  • 読む目安約6分
  • 区分読みもの・ケガ予防・安全

公開 2026.10.30 / plax labo 編集部

目次

ところが、これを研究で確かめようとした人たちは、意外な結論に行き着いています。2018年に、クールダウンに関するそれまでの研究を集めて調べた総説が出ました。結論を短く言うと、軽い運動によるクールダウンが、翌日の筋肉痛やケガを減らすという、はっきりした証拠は見つからなかった。練習のあとのストレッチが筋肉痛を減らすかについても、複数の研究を集めた分析で、効果はあってもごくわずか、と報告されています。

では、クールダウンは要らないのか。この記事では、研究で分かっていることを正直に書いたうえで、それでもやる価値がある理由と、目的を決めた5分の形を書きます。

point
  • 「クールダウンで筋肉痛とケガが減る」は、研究ではどう言われているか
  • それでもクールダウンをやる価値がある、3つの理由
  • 目的を決めてやる、5分のクールダウンの形

分かっていること、分かっていないこと

まず、整理します。

分かっていること

  • 練習のあとに軽く動くと、血液の中の疲労物質(乳酸など)が、じっとしているより早く減る。ただし、それが翌日の調子に効くかは、はっきりしない
  • 激しい運動のあとに急に立ち止まると、血が脚にたまって、めまいや気分の悪さが出ることがある。軽く動いて止まると、これは防げる
  • ストレッチを長い期間続けると、関節の動く範囲(柔らかさ)は広がる

はっきりしていないこと

  • クールダウンで、翌日の筋肉痛が減るか
  • クールダウンで、ケガが減るか
  • 練習の直後のストレッチが、翌日に効くか

つまり、「筋肉痛とケガの予防」という理由でクールダウンを子どもに強いる根拠は、思っているより弱い。でも、ほかの理由はあります。

それでもやる理由① 急に止まらない

丸めたマット

激しく動いたあと、その場に座り込む。これは、血の流れの面で、おすすめできません。脚の筋肉が動かなくなると、脚にたまった血が心臓に戻りにくくなり、立ちくらみを起こすことがあります。暑い日はとくに。

だから、練習の最後の2〜3分は、歩く・軽く走るで終わる。これは筋肉痛の予防ではなく、その場の安全のためです。

それでもやる理由② 柔らかさは、長い目で育てる

練習の直後のストレッチが翌日に効かなくても、毎回やることが、半年後の柔らかさになります。柔らかさは、動きの幅と、ケガのしにくさに、長い目で関わります。

「今日のストレッチが明日効く」ではなく、「半年分のストレッチが半年後に効く」。この時間の感覚を、子どもにも伝えてよいと思います。

それでもやる理由③ 練習を振り返る時間になる

たたんだタオル

これが、いちばん現実的な理由かもしれません。練習の最後に、全員が輪になって体を伸ばしている時間は、その日の練習を振り返る、唯一の落ち着いた時間です。

「今日、できたこと1つ」「次にやりたいこと1つ」。ストレッチをしながら、1人ずつ言う。体を伸ばす効果は小さくても、この時間の効果は大きい。振り返りの話は、別の記事(練習の終わり方)に書きます。

5分のクールダウンの形

目的を3つに分けたので、形もそれに合わせます。全部で5分。

  1. 歩く・軽く走る(2分)。練習の最後の動きから、歩きに落とす。会話ができる速さで
  2. 大きな筋肉を伸ばす(2分)。太ももの前、太ももの後ろ、ふくらはぎ、おしり。1か所20〜30秒。痛いところまで伸ばさない。「気持ちいい」で止める
  3. 振り返り(1分)。輪になったまま、今日できたこと1つを、何人かが言う

ストレッチの種類は、増やさなくてよい。4か所を、毎回同じ順番で。子どもが順番を覚えて、コーチが言わなくても始められる形が理想です。

ストレッチで気をつけることは2つ。反動をつけない(じわっと伸ばす)、呼吸を止めない(声を出しながらでもよい)。

練習の前のストレッチとは、分けて考える

練習の前に、じっと伸ばす(静的ストレッチ)を長くやると、そのあとの力やジャンプがわずかに落ちる、という研究があります。練習の前は、動きながら体を温めるほうがよい。これは別の記事(ウォームアップの本当の目的)に書きました。

じっと伸ばすのは、練習のあと。前と後で、やることが違います。「体操をして始めて、体操をして終わる」の、前の体操は動く形に、後の体操は伸ばす形に。

faqよくある質問

子どもがクールダウンを嫌がって、すぐ帰りたがります

「やらないとケガする」と言っても、嫌がる子は変わりません。振り返りの時間だと伝えて、本人に話す番を回す。話したい子は残ります。ストレッチそのものは、短くてよい。4か所で2分。

筋肉痛がひどい子には、長くストレッチさせたほうがいいですか

筋肉痛の最中に強く伸ばすのは、おすすめしません。軽く動かす程度にして、休養と食事と睡眠を。筋肉痛は、ストレッチで短くなるというより、時間で治ります。

「研究で効果がない」なら、保護者にどう説明すればいいですか

そのまま伝えてよいと思います。「筋肉痛の予防にはあまり効かないと分かっているが、急に止まらないため・柔らかさを長く育てるため・振り返りのため、にやっている」。理由を正直に言う教室は、信頼されます。

summaryまとめ

  • 軽い運動によるクールダウンが筋肉痛やケガを減らすという、はっきりした証拠は見つかっていない。練習直後のストレッチも同じ
  • それでもやる理由は3つ。急に止まらない・柔らかさを長い目で育てる・振り返りの時間
  • 形は5分。歩く2分・4か所を伸ばす2分・振り返り1分。毎回同じ順番で
  • 練習の前は動きながら、後はじっと伸ばす。前と後で分ける

根拠の弱い理由で脅すより、本当の理由で続けるほうが、長く続きます。

参考にした資料

  • Van Hooren, B., & Peake, J. M. (2018). Do we need a cool-down after exercise? A narrative review of the psychophysiological effects and the effects on performance, injuries and the long-term adaptive response. Sports Medicine, 48(7), 1575–1595.
  • Herbert, R. D., de Noronha, M., & Kamper, S. J. (2011). Stretching to prevent or reduce muscle soreness after exercise. Cochrane Database of Systematic Reviews, (7), CD004577.
  • Behm, D. G., et al. (2016). Acute effects of muscle stretching on physical performance, range of motion, and injury incidence in healthy active individuals: a systematic review. Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism, 41(1), 1–11.

この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。

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