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その子を「我慢強い」とほめる大人がいます。でも、3日前に言えていれば、腫れはその日のうちに引き始め、今日の試合は万全で出られたはずです。我慢は、ケガを長引かせるだけです。この記事では、子どもが痛みを言わない理由と、言葉より先に体に出るサイン、そして「痛い」と言うことが損にならない教室の作り方を書きます。
- 子どもがケガを隠す4つの理由
- 言葉より先に体に出る、5つのサイン
- 「痛い」と言うことが損にならない、教室のルールの作り方
言わない理由は、4つ
子どもに「なんで言わなかったの」と聞いても、「別に」としか返ってきません。理由は本人にもはっきりしていないことが多いので、こちらで見当をつけます。
- 休まされると思っている。「痛い」と言ったら、練習を外される、試合に出られない、レギュラーを取られる。そう思っている子は、言いません。実際、そういう教室は多い
- 迷惑をかけると思っている。人数がぎりぎりのチーム、保護者が送り迎えで苦労している家庭。子どもは、思っているより大人の事情を見ています
- 叱られると思っている。「なんでそんなところでケガするんだ」「気をつけろと言っただろ」。一度でもこれを聞いた子は、次から言いません
- 痛いのが普通だと思っている。毎日どこか痛い。まわりの子も痛いと言っている。だから「これは言うほどのことではない」と判断する。とくに、長く続けている子に多い
低学年の子には、もうひとつ。痛みを言葉にする語彙が無い。「ズキズキ」「ジンジン」「動かすと痛い」「押すと痛い」の区別がつかないので、「痛い?」と聞かれて「わかんない」と答える。嘘ではなく、本当に分からないのです。
言葉より先に、体に出る5つのサイン

言わない子も、体は隠せません。練習中、この5つを見ていると、本人が言う前に気づけます。
① 動きの左右差
走るときの腕の振り、着地の音、ターンの向き。いつも右で回っていた子が左で回る。片方の足だけ着地の音が大きい。左右で違うときは、どちらかをかばっています。
② ウォームアップの最後尾
いつも前のほうで走っている子が、最後尾にいる。ジョギングのペースが落ちている。動き始めがいちばん痛いので、ウォームアップで出ます。
③ 特定の動きだけ避ける
ジャンプの練習だけ、やる気がなさそうに見える。投げる練習で、なぜか短い距離ばかり選ぶ。「サボっている」ように見える子は、まず痛みを疑ってください。
④ 手で触る
休憩中に、ひざや足首やひじを、無意識に押さえている。靴ひもを何度も結び直す(足が痛いときによくやります)。練習の前後に、同じ場所をさすっている。
⑤ 表情が、終わってから変わる
練習中は平気な顔をしていて、終わった瞬間に顔がゆがむ。帰り支度で、靴を履くのが遅い。階段を降りるときに手すりをつかむ。
このどれかに気づいたら、「痛い?」ではなく、「ここ、押すと痛い?」と場所を指して聞きます。「痛い?」には「大丈夫」と答える子も、場所を指されると、うなずきます。
「痛い」が損にならないルールを作る
サインを見つける目も大事ですが、根本は言える教室にすることです。言った子が損をしないルールを、先に決めて、言葉で伝えます。
- 「痛い」と言った子を、その場でほめる。「教えてくれてありがとう。早く言えた子は、早く戻れる」
- 休んでも、ポジションや出番を失わないと約束する。「痛いと言ったら外される」が無くなるだけで、言う子は増えます
- 練習の最初に「体の点検」10秒。全員で、ひざ・足首・ひじ・かかとを自分で押す。痛い子は手を挙げる。毎回やると、言うのが「ふつう」になる
- 痛みを言う言葉を教える。「ズキズキ(じっとしていても)」「動かすと」「押すと」の3つ。低学年には、笑った顔から泣いた顔までの絵を並べた痛みの尺度(フェイススケール)を使うと、指で答えられます
- 叱らない。ケガそのものを叱ると、次から隠されます。叱るとしたら「言わなかったこと」だけ。それも、最初の1回は叱らない
保護者と、情報をつなぐ
子どもは、教室では「大丈夫」と言い、家では「痛い」と言うことがあります。逆もあります。家と教室の両方で見ないと、全体が見えません。
練習のあと、気になった子については、保護者にひとこと。「今日、着地のときに右足をかばっているように見えました。家で痛がっていませんか」。大げさにする必要はなく、見たことをそのまま。保護者から「実は家で言っていた」と返ってくることが、よくあります。
faqよくある質問
逆に、大げさに「痛い」と言う子がいます
その子は、「痛い」と言うと注目してもらえることを学んでいます。対応は、痛みを疑わないこと。「どこ? 押すと痛い?」と、毎回同じ手順で確かめる。手順が同じなら、本当に痛いときも、そうでないときも、同じ扱いになります。本当に痛いときに信じてもらえない、がいちばん危険です。
痛みの程度を、どう聞けばいいですか
「10点満点で何点?」は、小学校の高学年から使えます。低学年には、笑った顔から泣いた顔まで6段階の絵(フェイススケール)を見せて、指でさしてもらう。「動かすと痛い」なら練習を軽く、「じっとしていても痛い」なら、その日は休んで受診、が目安です。
保護者が「大丈夫です、続けさせてください」と言います
保護者も、休ませることに不安があります。「休むのは、長く休まないためです。1週間休んで戻るか、我慢して3か月休むか」と、休む期間の話で伝えてください。それでも続けさせたい、という場合は、受診して医師の判断をもらう。コーチと保護者で決めないことです。
summaryまとめ
- 子どもが痛みを隠す理由は、休まされる・迷惑をかける・叱られる・痛いのが普通。低学年は、言葉が無い
- 言葉より先に体に出る。左右差・ウォームアップの最後尾・特定の動きを避ける・手で触る・終わってから表情が変わる
- 「痛い」が損にならないルール。言った子をほめる・出番を失わない・毎回の体の点検・痛みの言葉を教える・叱らない
- 保護者と、見たことをそのままつなぐ
我慢強い子を育てる必要はありません。早く言える子を育ててください。
参考にした資料
- Wong-Baker FACES Foundation. Wong-Baker FACES® Pain Rating Scale.
- 公益財団法人日本スポーツ協会「発育期のスポーツ活動ガイド」
- 公益社団法人日本整形外科学会「スポーツ外傷・障害」解説ページ
この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。








