目次
- 痛いのは、ひざの下の出っぱり・かかとの後ろ・ひじの内側のどれかですか
- 痛むのは、走る・跳ぶ・投げるのあとですか。朝起きたときは平気ですか
- その場所を指で押すと、痛いですか
大人のケガは、ひねった・ぶつかったという「出来事」があります。成長期のケガの多くは、出来事が無いのに痛くなる。だから見逃されます。この記事では、代表的な3つを「場所」で見分ける目安と、受診につなぐ判断、教室でできることを書きます。診断は医師の仕事です。ここでは、医師のところへ連れていく判断ができるようになることを目指します。
- 成長期の体で、なぜ「骨のはし」が痛みやすいのか
- オスグッド・シーバー病・野球肘の、痛む場所と起きやすい年齢
- すぐ受診したほうがよいサインと、教室でできること
なぜ、成長期は「骨のはし」が痛むのか
子どもの骨には、伸びるための「成長軟骨」が、骨のはしに残っています。筋肉と腱は、ちょうどこのはしの部分に付いています。
走る・跳ぶ・投げるとき、腱は骨を強く引っぱります。大人の骨なら耐えますが、成長軟骨は骨より柔らかい。同じ場所を何千回も引っぱられると、そこが炎症を起こしたり、ひどいときははがれたりします。これが成長期のケガの共通のしくみで、整形外科では「骨端症」と呼ばれる仲間です。
身長が急に伸びる時期は、骨が先に伸びて筋肉が引っぱられているので、とくに起きやすくなります。
3つの場所と、それぞれの名前

ひざの下の出っぱり … オスグッド病
ひざのお皿の下、すねの骨の上のほうにある出っぱり(脛骨粗面)が痛みます。10〜15歳くらい、ジャンプとダッシュの多い競技(サッカー・バスケットボール・バレーボール・陸上)で多い。出っぱりが腫れて目で分かることもあります。
正座ができない、階段の下りがつらい、しゃがむと痛い、が典型です。
かかとの後ろの下 … シーバー病
かかとの骨の後ろ、アキレス腱が付くあたりが痛みます。8〜12歳くらいと、オスグッドより少し早い年齢に多い。走ったあと、かかとをつくと痛い。朝いちばんの一歩で痛い子もいます。
硬い靴・かかとの薄い靴・硬い地面での練習が重なると、起きやすくなります。
ひじの内側 … 野球肘(内側型)
投げる動きで、ひじの内側が引っぱられて痛みます。小学生の野球でいちばん多いのがこれです。投げたあとにひじの内側を押すと痛い、ひじがまっすぐ伸びきらない、が目安。
内側型は休めば治ることが多いのですが、外側が痛む型(離断性骨軟骨炎)は、初めは痛みが軽いのに、放っておくと手術が必要になることがあります。ひじは「内側でも外側でも、投げて痛いならまず受診」です。
日本臨床スポーツ医学会は1995年に、成長期の野球について投球数の目安を出しています。小学生は、全力投球を1日50球以内、1週間で200球以内。練習日は週3日以内、1日2時間を超えない。30年近く前の提言ですが、いまも現場の基準として引かれています。
すぐ受診するサイン
次のどれかがあれば、「様子を見る」ではなく、その週のうちに整形外科へ。できればスポーツに詳しい医師のところへ。
- 安静にしていても痛い。夜、寝ているときに痛む
- 腫れている・熱い。左右で見比べて、片方だけ大きい
- 片足で立てない・跳べない。体重をかけられない
- 1週間休んでも、戻ったらすぐ同じ場所が痛む
- ひじは、痛みが軽くても投げると痛い。「ちょっと痛い」が続いている
成長期のケガは、早く休めば数週間で戻ることが多く、我慢して続けると数か月から1年かかります。休む判断が早いほど、休む期間は短い。これは、本人にも保護者にも、はっきり伝えてよい話です。
教室でできること

指導者は医師ではありません。でも、受診の前と後に、できることがあります。
- 痛みを言える空気を作る。「痛いと言ったら休まされる、レギュラーを外される」と思っている子は言いません。「痛いと言えた子は、早く戻れる子」と、ふだんから言葉にする
- 量を見る。同じ場所を何回使ったか。投球数、ジャンプの回数、ダッシュの本数。フォームより先に、まず量
- 床と靴を見る。体育館の硬い床で、かかとの薄い靴。これだけでかかとは痛みます
- 痛みの記録を1行。日付・場所・何をしたあとか。受診のとき、これがあると医師の判断が早い
- 戻ってきた子の量を半分から。「治った」と言われた日から、前と同じ量は危ない
休ませる判断を、子ども本人に負わせないこと。「痛かったら休んでいいよ」は、子どもには「休むか続けるか、自分で決めろ」と聞こえます。決めるのは大人の仕事です。
faqよくある質問
「成長痛」と、どう違うのですか
いわゆる成長痛は、夕方から夜に両脚のあちこちが痛み、朝には消えていて、押しても痛くない、というものです。病名ではなく、はっきりした原因も分かっていません。この記事の3つは、決まった場所が、運動のあとに、押すと痛い。ここが違います。「成長痛だから大丈夫」で片づけると、見逃します。
治るまで、まったく運動させないのですか
医師の判断によりますが、多くは「痛む場所を使わない運動は続けてよい」とされます。ひざが痛い子が、上半身や体幹の練習をする。ひじが痛い子が、走る練習をする。チームから離さない工夫が、戻ってきたときの差になります。
サポーターやインソールで防げますか
痛みを軽くする助けにはなりますが、原因(使いすぎ)は変わりません。「サポーターをしているから続けられる」になると、かえって悪化します。使うなら、量を減らすことと一緒に。
summaryまとめ
- 成長期の骨のはしには柔らかい部分があり、腱に何千回も引っぱられると痛む。出来事が無いのに痛くなるのが特徴
- ひざの下=オスグッド(10〜15歳)/かかとの後ろ=シーバー病(8〜12歳)/ひじの内側=野球肘。外側が痛むひじは、軽くても受診
- 安静でも痛い・腫れている・片足で立てない・1週間休んでも戻る・ひじが投げて痛い → その週に整形外科
- 教室では、言える空気・量を見る・記録を1行・戻った子は半分から。休む判断を子どもに負わせない
参考にした資料
- 日本臨床スポーツ医学会 学術委員会「青少年の野球障害に対する提言」(1995年)
- 公益社団法人日本整形外科学会「スポーツ外傷・障害」解説ページ(オスグッド病・シーバー病・野球肘)
- 公益財団法人日本スポーツ協会「発育期のスポーツ活動ガイド」
この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。









