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突き指・ねんざの応急処置。「冷やして圧迫して上げる」から、いまの考え方へ

バスケットボールの練習で、ボールが指先に当たった。子どもが指を押さえている。横にいた子が、「引っぱると治るよ」と言って、指を引っぱろうとする。

  • 対象指導者・保護者
  • 読む目安約7分
  • 区分読みもの・ケガ予防・安全

公開 2026.10.27 / plax labo 編集部

目次

止めてください。突き指は、引っぱってはいけません。昔から言われている「引っぱる」は、突き指が「指が縮んだ状態」だと誤解されていたころの話で、実際の突き指は、指の関節のまわりの靭帯や腱が傷んでいる状態です。引っぱると、傷んだところをさらに引き裂くことがあります。

この記事では、突き指とねんざの応急処置を、教室でその場にできることと、できないことに分けて書きます。応急処置の考え方は、この10年ほどで変わってきています。そこも含めて。

point
  • 突き指を「引っぱる」が、なぜ危ないのか
  • 応急処置の考え方の移り変わり(RICE → いまの考え方)と、教室でやること
  • すぐ受診する目安と、復帰までの進め方

応急処置の考え方は、変わってきている

長く教えられてきたのは「RICE」です。Rest(安静)・Ice(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)の頭文字で、ケガをしたらこの4つ、と覚えた人は多いと思います。

ただ、研究が進むにつれて、いくつかが見直されました。

  • 冷やしすぎない。氷で長く冷やすと痛みは和らぎますが、治るために必要な体の反応(炎症)まで抑えてしまう可能性が指摘されています。冷やすのは、痛みを抑えるための短い時間に
  • 安静にしすぎない。痛みの範囲で早めに動かしたほうが、回復が早いとされています
  • 痛み止めの使いすぎに注意。炎症を抑える薬を早い時期に多く使うと、回復が遅れる可能性が指摘されています

2020年にスポーツ医学の雑誌に出た「PEACE & LOVE」という考え方は、ケガをした直後(PEACE:保護する・挙上する・抗炎症薬を避ける・圧迫する・教育する)と、数日後から(LOVE:負荷をかける・楽観する・血流を増やす・運動する)に分けて整理しています。

教室の現場で覚えておくのは、こう整理できます。その場でやるのは「守る・圧迫する・上げる」。冷やすのは短く。あとは医師に。

突き指:その場でやること

包帯
  1. プレーを止める。「大丈夫」と言っても、その日はボールを使う練習から外す
  2. 見る。指がまっすぐか、曲がっているか。変な方向に曲がっていたら、触らずに受診
  3. 冷やす(短く)。氷か保冷剤をタオルで包んで、10分ほど。直接当てない。長くやらない
  4. 固定する。隣の指と一緒にテープで巻く(バディテープ)。隣の指が添え木になる
  5. 引っぱらない。回さない。揉まない

その日のうちに腫れが引かない、指が曲がらない・伸びない、押すと強く痛む、なら受診。骨折やひどい靭帯の損傷は、見た目では分からないことがあります。「突き指だから大丈夫」で1週間放置して、あとで骨折と分かる、というのは珍しくありません。

ねんざ:その場でやること

足首のねんざは、スポーツのケガでいちばん多いもののひとつです。

  1. プレーを止める。歩けても、その日は走らない
  2. 靴を脱がせて、見る。腫れの速さと大きさ。すぐに大きく腫れるなら、重いことが多い
  3. 圧迫する。伸縮包帯で、足首を軽く巻く。きつすぎると血が止まる。指先の色を見ながら
  4. 上げる。座って、足を心臓より高い位置に。クッションや荷物の上に
  5. 冷やす(短く)。包帯の上から、氷をタオルで包んで10〜15分

その場で確かめることが、1つあります。体重をかけて、4歩歩けるか。歩けないなら、骨折の可能性があり、その日に受診します。歩けても、腫れが大きい・翌日に紫色のあざが出た・足首の骨の出っぱりを押して痛い、なら受診。

教室でできないこと

氷のう
  • 診断。骨折か、靭帯か、ただの打撲か。見た目では分かりません
  • 整復(ずれた関節や骨を戻すこと)。医師の仕事です。コーチが試みてはいけない
  • 復帰の判断。「もう大丈夫そう」は、本人もコーチも分かりません

できないことを、できないと知っていることが、安全の構えです。

復帰までの進め方

受診して、医師から「運動してよい」と言われたら、前と同じ量からは始めない。

  • 最初の1週間は、半分の量。痛みの出ない範囲で
  • 痛みが出たら、その日はやめる。翌日に持ち越さない
  • ねんざは、片足立ちのバランス練習を復帰後に続ける(再発の予防に効くとされています)
  • 固定していた指は、固定を外したあと、曲げ伸ばしをゆっくり毎日

faqよくある質問

湿布は貼ったほうがいいですか

湿布は、痛みを和らげる助けにはなりますが、ケガそのものを治すものではありません。貼るなら、受診してからで十分です。その場で優先するのは、圧迫と挙上です。

子どもが「大丈夫、できる」と言って、続けたがります

ケガの直後は、体の反応で痛みを感じにくくなっていることがあります。「大丈夫」は、本当の状態を表していないことが多い。その日は止める。翌日に痛くなければ、翌日から。「今日はもう使わない」は、コーチが決めることです。

温めたほうがいいですか、冷やしたほうがいいですか

ケガの直後(腫れている・熱を持っている)は、短く冷やす。数日たって腫れが引いたら、温めて動かす。「直後は冷やす、あとは温める」と覚えてください。迷ったら、医師に聞く。

summaryまとめ

  • 突き指は引っぱらない。隣の指と一緒に固定して、短く冷やして、曲がっていたり腫れが引かなければ受診
  • ねんざは、圧迫と挙上を先に。冷やすのは短く。4歩歩けないなら、その日に受診
  • 応急処置の考え方は、冷やしすぎない・安静にしすぎない方向へ変わってきている。その場は「守る・圧迫する・上げる」、あとは医師に
  • 教室には、診断・整復・復帰の判断はできない。できないことを知っておく
  • 復帰は半分の量から。ねんざはバランスの練習を続ける

「引っぱると治る」は、教室から消してください。

参考にした資料

  • Dubois, B., & Esculier, J.-F. (2020). Soft-tissue injuries simply need PEACE and LOVE. British Journal of Sports Medicine, 54(2), 72–73.
  • 公益社団法人日本整形外科学会「スポーツ外傷・障害」解説ページ(突き指・足関節捻挫)
  • 公益財団法人日本スポーツ協会「スポーツ医・科学に関する指針」(応急処置)

この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。

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