目次
よくある話です。そして、この疲れの多くは、土曜の夜から月曜の朝までに、体に入れたものと寝た時間で決まっています。練習の翌日に疲れを残さないために、家庭でできることを3つの区切りに分けて書きます。「補食」の話ではありません。帰ってきてからの話です。
- 練習のあとの体が、何を・いつ欲しがっているか
- 夜ごはん・寝る前・翌朝で、それぞれ足すもの
- 「食べているのに疲れが抜けない」ときに疑う3つのこと
練習のあとの体は、2つのものを欲しがっている
運動のあとの体は、おおざっぱに言うと2つのことをしています。
- 使ったエネルギーをためなおす。筋肉の中のエネルギーの貯金(グリコーゲン)は、長い練習でかなり減っています。これを戻す材料は炭水化物(ごはん・パン・めん・いも)
- 傷んだ筋肉を直して、大きくする。材料はたんぱく質(肉・魚・卵・大豆・牛乳)
このうち、炭水化物の貯金をもとに戻すには、だいたい丸1日かかると言われています。だから、練習のあとの夜ごはんで足りないと、翌日の午前中まで足りないままです。月曜の朝の「だるい」は、ここから来ていることが多い。
スポーツをしている子の食事で、いちばん多い間違いは「たんぱく質ばかりで、ごはんが少ない」です。おかずを増やして、ごはんを減らす。これでは貯金が戻りません。
区切り① 夜ごはん:ごはんをけちらない

練習のある日の夜ごはんは、ごはんの量を、ふだんの1.2〜1.5倍にします。おかずを豪華にするより、ごはんを増やすほうが、翌日の疲れに効きます。
献立の例をひとつ。
- ごはん(ふだんより大きい茶わんで)
- みそ汁(具は、豆腐・わかめ・じゃがいも。汁もので水分と塩分も戻す)
- 主菜は1つ(焼き魚、鶏の照り焼き、豚のしょうが焼き。揚げものは消化に時間がかかるので、疲れている日はさける)
- 副菜に、色の濃い野菜と果物(ほうれん草のおひたし、トマト、みかん。ビタミンCは鉄の吸収を助ける)
食欲が無いときは、おかずを減らしてよいので、ごはんとみそ汁だけは食べる。おにぎりにすると食べやすい子が多いです。ふりかけ、梅、鮭。おかゆや雑炊にして、卵を落とすのもいい。
区切り② 寝る前:少しだけ、たんぱく質
夜ごはんが早かった日や、食欲が無くて少ししか食べられなかった日は、寝る30分〜1時間前に少しだけ足します。目安は、牛乳をコップ1杯、ヨーグルト1個、チーズ1切れ、豆乳1杯。このくらい。
寝ているあいだは、体を直す時間です。その材料を少し入れておく、という考え方です。「少し」が大事で、おなかいっぱいにすると、眠りが浅くなり、翌朝の食欲が消えます。
そして、寝る時間。ここは食べものより効きます。小学生は9〜12時間、中学生は8〜10時間が目安(米国睡眠医学会の推奨)。練習のあった日に夜ふかしをすると、どんな夜ごはんでも疲れは残ります。
区切り③ 翌朝:起きて30分以内に、何か食べる

寝ているあいだも、体はエネルギーを使っています。朝起きたときは、貯金がいちばん減っている状態です。ここで朝ごはんを抜くと、月曜の午前中はエネルギー切れで、「だるい」が確定します。
内容は、炭水化物+たんぱく質。ごはんと卵、パンと牛乳、おにぎりとヨーグルト。時間が無いなら、バナナ1本と牛乳でもよい。「何も入れない」よりは、何でも入れたほうがよい。朝ごはんを食べない子への手は、別の記事(朝ごはんを食べない子と、練習の調子)に書きました。
食べているのに、疲れが抜けないとき
夜ごはんをしっかり食べ、睡眠もとれているのに、疲れが何週間も続く。そういうときは、食事の量ではないことを疑います。
- 鉄が足りていない。顔色が悪い、息が切れやすい、走りたがらない。成長期の子、とくに女の子と、長い距離を走る競技の子に多い。詳しくは別の記事(成長期に足りなくなりやすい3つの栄養素)で
- 練習量が多すぎる。週の練習時間が、年齢の数字を超えていないか(10歳なら週10時間)。これを超えるとケガが増えることが報告されています
- 体重が減っている。成長期なのに体重が増えていない、むしろ減っているなら、食べる量そのものが足りていない
このどれかに当たるなら、食事の工夫の前に、小児科かスポーツドクターへ。「疲れやすい」は、受診してよい理由です。
faqよくある質問
帰ってきてすぐ寝てしまい、夜ごはんが食べられません
起こして無理に食べさせるより、寝る前に飲めるもの(牛乳、豆乳、バナナを牛乳で割ったもの、ゼリー飲料)を少し。そして翌朝を、ふだんより大きく。朝ごはんが夜ごはんの代わりになる日があってもよい。
練習のあとに、お菓子やジュースを欲しがります
運動のあとは、甘いものを欲しがるのが自然です。ただ、ジュースやお菓子で満腹になると、夜ごはんのごはんが入りません。「夜ごはんのあとに、デザートとして」と順番を変える。それだけで、ごはんの量は守れます。
夜おそくに練習が終わります。22時に食べるのは太りますか
食べないほうが、翌日に残ります。量を減らすなら、ごはんは減らさずおかずの脂を減らす。おにぎり2個とみそ汁、豆腐。これなら22時でも重くありません。成長期の子の「太る」を気にして食事を減らすのは、多くの場合、逆効果です。
summaryまとめ
- 練習のあとの体は、炭水化物でエネルギーをためなおし、たんぱく質で筋肉を直す。貯金が戻るには丸1日かかる
- 夜ごはんはごはんを1.2〜1.5倍、おかずは1つ、汁と色の濃い野菜。寝る前は少しだけたんぱく質と、十分な睡眠。翌朝は起きて30分以内に何か
- 食べているのに疲れが抜けないなら、鉄・練習量・体重を疑って、受診してよい
月曜の朝の「だるい」は、日曜の夜の茶わんの大きさで、だいぶ変わります。
参考にした資料
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
- 公益財団法人日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(水分・塩分の補給)
- American Academy of Sleep Medicine (2016). Recommended amount of sleep for pediatric populations: a consensus statement. Journal of Clinical Sleep Medicine, 12(6), 785–786.
- Jayanthi, N. A., et al. (2015). Sports-specialized intensive training and the risk of injury in young athletes. American Journal of Sports Medicine, 43(4), 794–801.
この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。







