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冬の練習でまず要るのは、「体が温まった状態で始めること」です。ウォームアップの話は別の記事に書きました。この記事は、その手前。食べ物でできる「温め」の話です。特別な食材は要りません。温かい汁物・食べる時刻・飲み物。この3つの組み合わせです。
- 食事で体が温まる理由(食事のあとに体が熱を出すしくみ)と、温まりやすい食べ方
- 朝練・夕方の練習それぞれで、何をいつ食べるか
- 冬でも水分が足りなくなる理由と、保温の水筒に入れるもの
食事で体が温まる理由
食事をしたあと、体は食べたものを消化・吸収するために熱を出します。食事誘発性熱産生と呼ばれ、食べたあとに体がぽかぽかするのはこのためです。厚生労働省の e-ヘルスネットによると、この熱は栄養素によって差があり、たんぱく質だけを食べた場合は摂取したエネルギーの約30%、糖質だけなら約6%、脂質だけなら約4%とされています。ふだんの食事はこれらが混ざっているので、だいたい10%ほどです。
ここから分かるのは2つ。食べれば体は温まること。そして、たんぱく質を含む食事のほうが温まりやすいこと。朝、牛乳だけ・パンだけで出てくる子より、卵や納豆・ハムが一緒にある子のほうが、体の内側から温まりやすい、という理屈です。
もう1つ、温かいものをそのまま体に入れる効果もあります。温かい汁物は、食べ物の温度そのものと、水分と塩分を一緒に取れる点で、冬の練習前にちょうどよい。豚汁・けんちん汁・ミネストローネ。具にたんぱく質(豚肉・豆腐・豆)が入っていれば、上の理屈とも重なります。
朝練の前:前の晩と、起きてからの30分

朝の練習は、食べる時間がありません。起きてすぐにたくさんは食べられないし、食べてすぐ動くと脇腹が痛くなる。だから、朝練の温めは前の晩から始まります。
- 前の晩の夕食をしっかり。遅い時刻なら、温かい汁物と主食を中心に、消化のよいものを。ここで食べていない子は、朝に何を足しても間に合いません
- 起きてすぐ、温かい飲み物を1杯。白湯・薄めたほうじ茶・温かい麦茶。胃を起こす意味と、水分の意味があります
- 出る30分前までに、小さく食べる。バナナ1本、小さいおにぎり1個、温めた牛乳にはちみつ。量より、「空っぽで出ない」ことが大事です
練習前の食事のタイミングの基本(食事は2〜3時間前、補食は30分〜1時間前)は、別の記事(練習前は何を食べる?)に書きました。冬の朝練は、その基本が守れない日が多いので、前の晩に寄せる、と覚えてください。
夕方の練習の前:学校のあとの「温かいひと口」
夕方の練習は、給食から4〜5時間空いています。この間に何も食べていない子は、エネルギーも体温も下がったまま練習に入ります。学校から帰って練習に出るまでの15〜30分に、温かいものをひと口。
- カップのスープ、味噌汁、温めた牛乳やココア
- 小さいおにぎり、肉まん、バナナ
量は少なくてよい。「温かい・少し・出る前」の3つがそろえば十分です。冷たいおやつ(アイス・冷えたジュース)は、この時期は避けたい。
冬でも水分は足りなくなる

冬は喉の渇きを感じにくく、水分を取る量が自然と減ります。一方で、乾いた空気の中では呼吸からも水分が出ていき、体育館の中では汗もかく。「冬だから飲まなくていい」は誤りです。日本スポーツ協会の熱中症予防の資料でも、水分補給は季節を問わず練習の基本とされています。
冬の工夫は、保温の水筒に温かいものを入れること。冷たい水は、寒い日には飲みたくなりません。温かい麦茶・薄いほうじ茶・白湯。飲まない子を飲む子にする工夫は、別の記事(飲まない子を、飲む子にする)に書きました。
飲む量の目安は夏と同じ考え方で、練習の前にコップ1杯、練習中は休憩のたびにひと口ずつ。長い練習や、汗をかく室内練習では、塩分を含む飲み物も選択肢です。
「体を温める食材」の話は、ほどほどに
しょうが・唐辛子・根菜。「体を温める食材」としてよく挙がります。食べて悪いものではありませんが、子どもの練習前に、特定の食材で体温が上がるという確かな裏づけは、この記事では示せません。温まる主な理由は、上に書いた「食事そのものの熱」と「温かい温度」と「食べる時刻」です。食材を探すより、この3つをそろえるほうが確実です。
faqよくある質問
朝、どうしても食べられない子は
起きてすぐの温かい飲み物1杯から始めてください。固形は無理でも、温めた牛乳にはちみつ、バナナを牛乳で溶いたものなら入ることが多いです。そして、前の晩の夕食を見直す。
練習前にカイロや厚着で温めるのと、どちらが大事ですか
どちらも要ります。外から温めるカイロや上着は、動き出したら脱ぐもの。中から温める食べ物は、練習中も続きます。食べ物は、ウォームアップの効きを早める下地と考えてください。
冷たい水しか飲まない子には
無理に温かいものにしなくてよいです。冷たくても飲むなら、飲むことが先。ただし寒い日は飲む量が減りがちなので、休憩のたびに声をかけてください。
summaryまとめ
- 食べれば体は温まる。たんぱく質を含む食事のほうが温まりやすく、温かい汁物は温度と水分・塩分を一緒に取れる
- 朝練の温めは前の晩から。起きてすぐ温かい飲み物、出る30分前に小さく食べる
- 夕方の練習は、学校のあとに「温かい・少し・出る前」のひと口
- 冬でも水分は足りなくなる。保温の水筒に温かい飲み物を
- 特定の食材より、汁物・時刻・飲み物の3つをそろえるほうが確実
寒い日の練習の質は、ウォームアップの前、家の台所で半分決まっています。
参考にした資料
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「食事誘発性熱産生/DIT」
- 公益財団法人日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(水分補給の考え方)
この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。







