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スポーツドリンクは悪者ではありません。長い練習や暑い日には、水より向いている飲み物です。ただ、何のための飲み物かを知らずに毎日飲むと、糖の取りすぎと歯への影響が、静かに積み重なります。この記事では、表示の見方、出番の決め方、ふだんの水筒に入れるものを書きます。
- スポーツドリンクに入っている糖の量を、表示から読む方法
- 出番の決め方(1時間以上・暑い日・大量の汗)と、ふだんの水筒に入れるもの
- 歯への影響と、飲んだあとの「水でひと口」
1本に、角砂糖7個前後
市販のスポーツドリンクの栄養成分表示を見ると、100mlあたりの炭水化物(ほぼ糖質)は、製品にもよりますが4〜6g前後のものが多い。500mlのペットボトル1本なら20〜30g。角砂糖1個を3〜4gとすると、7個前後です。
世界保健機関(WHO)は2015年の指針で、添加された糖(遊離糖類)を1日の総エネルギーの10%未満に、できれば5%未満に抑えることを勧めています。1日1,500kcal ほど食べる小学校低学年の子なら、10%で約38g、5%で約19g。スポーツドリンク1本で、5%の目安をほぼ使い切ります。そこにお菓子やジュースが加わるのが、ふつうの子どもの1日です。
「スポーツをしているから大丈夫」と思いがちですが、30分〜1時間の練習で使う糖は、1本ぶんに届かないことがほとんどです。
出番は「1時間以上・暑い日・大量の汗」

では、いつ飲むのか。日本スポーツ協会の熱中症予防の資料では、運動中の水分補給について、0.1〜0.2%の食塩(ナトリウム)と、運動が1時間以上になるときは4〜8%の糖質を含む飲み物が勧められています。つまりスポーツドリンクの出番は、こういう日です。
- 1時間以上の練習や試合。糖がエネルギーの補給になる
- 暑い日。汗で失う塩分を補う
- 大量に汗をかく運動。室内の激しい練習、夏の屋外
逆に言えば、1時間未満・涼しい日・汗が少ない練習では、水や麦茶で足ります。冬の30分のなわとび教室に、スポーツドリンクは要りません。
教室で決めるなら、「ふだんの水筒は水か麦茶。1時間を超える日と暑い日はスポーツドリンク可」と、基準を1行で伝えると迷いません。保護者も「水だと飲まない」から抜け出す理由ができます。
ふだんの水筒に入れるもの
ふだんは、水か麦茶。これで十分です。「水だと飲まない」子には、飲みやすくする工夫のほうを変えます。冷たさ、水筒の口の形、休憩のたびの声かけ。飲まない子を飲む子にする工夫は、別の記事に書きました。
スポーツドリンクを「薄める」のは、賛否があります。糖は減りますが、塩分も減るので、暑い日の塩分補給の意味が薄れます。薄めるくらいなら、ふだんは水、必要な日はそのまま、と分けるほうが分かりやすい。
「経口補水液」はスポーツドリンクとは別もので、脱水のときに飲むものです。ふだんの練習で飲むものではありません。
歯への影響と、飲んだあとの「水でひと口」

スポーツドリンクは糖を含み、酸性です。少しずつ長い時間かけて飲む飲み方は、歯が糖と酸にさらされる時間を長くします。小児歯科の分野では、スポーツドリンクやジュースを長時間ちびちび飲む習慣が、むし歯や歯の表面が溶ける酸蝕症と関連する、と注意が呼びかけられています。
対策は簡単です。
- スポーツドリンクを飲んだあと、水をひと口。口の中をすすぐ意味です
- 休憩のたびに少しずつ飲むのは正しい飲み方なので、やめなくてよい。そのかわり、練習が終わったらスポーツドリンクは終わり。帰りの車の中で飲み続けない
- 寝る前には飲まない
表示の見方を、子どもと一緒に
小学校中学年以上なら、ペットボトルの裏の表示を一緒に見るのがいちばん効きます。「100mlあたり炭水化物◯g」を見つけて、500ml に直して、角砂糖の数に換算する。自分で数えた子は、「今日は30分だから水にする」と自分で決められるようになります。禁止より、数えられることのほうが長く効きます。
faqよくある質問
水だと本当に飲まないんです
飲まない理由が「味」なら、麦茶や、ごく薄い果汁を足した水から始めてください。「冷たくない」「飲みにくい水筒」が理由のことも多いです。スポーツドリンクを「飲ませるための手段」にし続けると、水が飲めない子になります。
試合の日は1日中スポーツドリンクでいいですか
試合と試合の合間は、水と食べ物で補うほうが向いています。試合中と直前はスポーツドリンク、合間は水とおにぎり・バナナ、と分けてください。1日中飲み続けると、糖の量がかなりの量になります。
ゼロカロリーのスポーツドリンクなら毎日いい?
糖は少ないですが、酸性であることは変わらず、甘味料への慣れも気になります。ふだんは水か麦茶、が答えです。
summaryまとめ
- 500ml 1本の糖は角砂糖7個前後。WHO の「できれば5%未満」の目安を、1本でほぼ使い切る
- 出番は 1時間以上・暑い日・大量の汗。1時間未満・涼しい日は水か麦茶で足りる
- 教室は「ふだんは水か麦茶、長い日と暑い日はスポーツドリンク可」と基準を1行で
- 飲んだあとに水でひと口。練習が終わったら終わり、寝る前は飲まない
- 禁止より、子どもが自分で表示を数えられるほうが長く効く
スポーツドリンクは道具です。出番を決めれば、味方になります。
参考にした資料
- World Health Organization (2015). Guideline: Sugars intake for adults and children. Geneva: WHO.
- 公益財団法人日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(水分補給:0.1〜0.2%の食塩と4〜8%の糖質)
- 各製品の栄養成分表示(100mlあたりの炭水化物・ナトリウム)
- 小児歯科・学校歯科の啓発資料(飲料の糖・酸と、う蝕・酸蝕症)
この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。







