目次
成長期に運動をしている子どもの体は、体を大きくする分と運動で使う分の両方を、毎日の食事からまかなっています。大人より必要な量が多い栄養素があるのに、食べる量は大人より少ない。だから足りなくなります。この記事では、とくに足りなくなりやすい3つに絞って、サプリではなくふだんの食事で足す形を書きます。
- 運動する子どもで、鉄・カルシウム・たんぱく質が足りなくなりやすい理由
- 足りないときに出るサインと、見のがしやすいところ
- ふだんの食事に「1品足す」だけで補う具体的な形
なぜ3つなのか
子どもの栄養の話は、言い出すときりがありません。ここで3つに絞ったのは、運動する子で実際に不足が起きやすく、しかも足りないと動きに直接出るからです。
- 鉄 … 血液が酸素を運ぶのに要る。足りないと、持久力が落ち、息が切れやすく、疲れが抜けない
- カルシウム … 骨をつくる。必要な量がいちばん多いのは、実は大人ではなく12〜14歳
- たんぱく質 … 筋肉と、傷んだ体を直す材料。練習のあとに足りないと、体が大きくならない
ビタミンや食物繊維ももちろん大事ですが、この3つは「足りないと練習に出る」という点で、指導者と保護者が先に見ておきたいものです。
鉄:息が切れる・顔色が悪い・走りたがらない

走る・跳ぶを長く続ける競技(サッカー、バスケ、陸上、水泳、ダンス)では、汗や足の裏への衝撃で鉄が少しずつ失われます。成長で血液の量そのものも増えるので、体が大きくなる時期ほど、鉄の必要量は上がります。女の子は生理が始まると、さらに必要になります。
足りないときのサインは、「なんとなく元気がない」の形で出るのがやっかいなところ。息切れ、顔色の悪さ、集中が続かない、朝起きられない、練習に行きたがらない。やる気の問題に見えて、鉄が足りていないだけのことがあります。
食事で足す
- 赤身の肉(牛もも、豚ヒレ)、レバー、かつお、まぐろ、あさり
- 納豆、豆腐、小松菜、ひじき(植物の鉄は吸収されにくいので、ビタミンCと一緒に。みかん、いちご、ブロッコリー)
- 朝のシリアルの多くは鉄が足されている。手軽な1品
カルシウム:いちばん必要なのは12〜14歳
骨は20歳ごろまでに、一生ぶんの「貯金」の大半を作ります。その貯金がいちばん増えるのが小学校高学年から中学生で、この時期に必要なカルシウムの量は、成人より多い。けれど、この年代は牛乳を飲まなくなり、部活で帰りが遅くなり、食事が雑になりやすい。必要な時期と、足りなくなる時期が重なります。
足りないと、すぐに何かが起きるわけではありません。だから気づきにくい。出るとすれば、成長期の疲労骨折や、大人になってからの骨の弱さです。
食事で足す
- 牛乳・ヨーグルト・チーズ(吸収がいちばんよい)
- 小魚(しらす、ししゃも)、豆腐、厚揚げ、小松菜
- 牛乳が苦手なら、ヨーグルトを朝に1個、みそ汁に豆腐と小松菜で、かなり埋まります
カルシウムはビタミンDがないと吸収されません。ビタミンDは魚(鮭、さば、いわし)と、日光で作られます。屋外で練習している子は、そこは心配いりません。
たんぱく質:量より「毎食に分ける」

「たんぱく質はプロテインで」という話をよく聞きますが、成長期の子どもに、まず要るのは毎食にたんぱく質があることです。朝はパンだけ、昼は給食、夜にまとめて肉、という食べ方だと、朝と昼に体を作る材料がありません。
目安は、毎食、手のひら1つぶんの肉・魚・卵・大豆製品。朝なら卵1個か納豆1パック、それだけで違います。
練習のあとは、傷んだ筋肉を直す材料が要ります。帰りが遅くて夕食までに時間が空くなら、おにぎり+牛乳やゆで卵を先に。これは前の記事「練習前は何を食べる?」で書いた補食と同じ話です。
指導者ができること
食べるのは家庭ですが、気づくのは練習の場です。
- 「息が切れやすくなった」「顔色が悪い」が2〜3週間続いたら、保護者に伝える。「やる気の問題」と決めつけない
- 練習後の補食を禁止しない。むしろ「おにぎり持ってきていいよ」と言う
- 女子の選手で、急にタイムが落ちた・疲れが抜けないときは、鉄のことを頭に置いておく。本人は言い出しにくい
faqよくある質問
サプリメントで足してはいけませんか
成長期は、まず食事です。鉄のサプリはとりすぎると害があるので、医師に足りないと言われてから。カルシウムやたんぱく質も、食事で足せる量です。サプリに頼ると「食べなくていい」になりやすく、ほかの栄養が抜けます。
牛乳を飲むとおなかをこわします
無理に飲まなくて大丈夫。ヨーグルトやチーズは、同じ乳製品でもおなかに来にくい人が多いです。小魚、豆腐、小松菜でも足せます。
肉をあまり食べません
魚、卵、大豆製品でかまいません。たんぱく質は「肉でなければ」ではなく、「毎食にあるか」です。納豆ごはんと卵焼きで、朝のぶんは十分です。
summaryまとめ
- 運動する子どもは、体を作る分と運動で使う分の両方を食事からまかなっている
- 鉄は持久力と元気、カルシウムは骨の貯金(必要量のピークは12〜14歳)、たんぱく質は毎食に
- 足すのは、朝に1品。卵・納豆・牛乳・ヨーグルト・魚のどれか
- 「元気がない」が続いたら、やる気ではなく栄養を疑う。2〜3週間続けば小児科へ
参考にした資料
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(鉄・カルシウム・たんぱく質の年齢ごとの推奨量)
- 公益財団法人日本スポーツ協会 スポーツ栄養に関する公開資料
- 農林水産省・厚生労働省「食事バランスガイド」
この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。









