目次
むずかしい栄養の計算は要りません。この記事では、時間を軸にした食べ方の目安を、家にあるものでできる形でまとめました。保護者の方はそのまま家で、指導者の方は保護者へ伝える言葉として使ってください。
- 食事と練習のあいだに空けたい時間と、その理由
- 練習の直前・途中・直後に向く食べもの、向かないもの
- 試合の日の朝ごはんの組み立て方
食べてすぐ動くと、なぜつらいのか
食べたものを消化しているあいだ、血液はおなかに集まっています。そこで走り始めると、筋肉と胃腸で血液の取り合いになり、横腹の痛み・吐き気・だるさにつながります。
逆に、空腹のまま練習に入ると、途中でエネルギーが切れます。集中が途切れ、転んだりぶつかったりしやすくなるのはこのときです。
だから大事なのは「何を」より先に「いつ」。目安はこの3つだけです。
- 3時間前まで … ふだんどおりの食事(ごはん・おかず・汁もの)
- 1〜2時間前 … 消化のよい炭水化物を少し(おにぎり1個、バナナ1本、カステラ1切れ)
- 30分前 … ほんの少し、すぐエネルギーになるもの(バナナ半分、ゼリー飲料、あめ1〜2個)
平日17時からの練習なら、15時のおやつを「おにぎり1個」に替えるだけで、だいぶ変わります。
直前に向くもの、向かないもの
直前は「炭水化物が中心・脂が少ない・量は少なめ」が合言葉です。
向くもの
- おにぎり(具は梅・昆布・鮭など、あぶらの少ないもの)
- 食パン、ロールパン(バターやクリームは少なめに)
- バナナ、カステラ、ようかん
- ゼリー飲料
向かないもの
- からあげ・ポテト・カツなどの揚げもの(脂が多く、消化に時間がかかる)
- クリームたっぷりの菓子パン、ラーメン、カレー(同じ理由)
- ごぼう・きのこ・海藻の大盛り(食物繊維が多いと、おなかにガスがたまりやすい)
- 炭酸飲料(おなかが張る)
練習中は、のどが渇く前に
日本スポーツ協会の熱中症予防のガイドでは、運動の前に飲んでおき、運動中は15〜20分ごとに休憩して飲むことをすすめています。一度にがぶ飲みするのではなく、コップ半分〜1杯(100〜250ml)を小分けに。
1時間を超える練習や暑い日は、水だけでなく、0.1〜0.2%の食塩と糖分を含む飲みもの(市販のスポーツドリンク、または水1リットルに塩ひとつまみと砂糖大さじ2〜4)が合います。
子ども自身が気づける目安も教えておきましょう。
- おしっこの色が濃い → 水分が足りていない
- 練習の前後で体重が2%以上減っている(30kgの子なら600g) → 飲む量を増やす
子どもは遊びに夢中になると飲みません。給水の休憩は「のどが渇いたら」ではなく、練習の予定に組み込むのが指導者の仕事です。
練習のあと30分が、体をつくる時間
練習で使ったエネルギーを戻し、傷んだ筋肉を直すために、終わったあとは炭水化物とたんぱく質を早めにとります。
夜遅い夕食まで何も食べないより、帰り道に「おにぎり+牛乳」「サンドイッチ+ヨーグルト」「バナナ+豆乳」のような補食をはさむ。これが、成長期の「体づくり」の中身そのものです。
ただし、練習が終わって1時間以内に夕食が食べられるなら、補食は要りません。足すと量が増えすぎて、夕食が入らなくなります。
試合の日の朝ごはん
試合開始の3時間前に食べ終えるのが目安。9時開始なら6時に食べ始めます。
献立は、ふだんより白ごはんを多めにして、おかずは軽く。たとえば、ごはん・具の少ないみそ汁・卵焼き・バナナ・オレンジジュース。朝が早くて食べきれないときは、おにぎりとバナナだけでもかまいません。
ふだん食べていないものを、試合の日に試さないこと。おなかの調子が変わると、それだけで1日が終わります。
試合と試合のあいだは、おにぎり・バナナ・ゼリーを少しずつ分けて。終わったら、好きなものをしっかり食べて帰りましょう。
指導者ができる3つのこと
- 練習の開始時刻と、前の食事の目安を、一度だけ保護者に伝える(「17時開始なので、15時ごろにおにぎり1個を」)
- 給水の休憩を予定に書く(15〜20分ごと)
- 補食を持ってきた子を叱らない。むしろ「いいね」と言う
食べることは家庭の領域ですが、「練習の何時間前に」だけは、練習の時間を決めている教室のほうが伝えやすい話です。
faqよくある質問
練習の前に、お菓子(チョコやクッキー)を食べたがります
少しなら大丈夫です。ただ、チョコやクッキーは脂が多く、おなかに残ります。直前のエネルギー補給なら、あめやラムネのほうが向いています。「お菓子=補食」と覚えてしまうと日常の量が増えるので、基本はおにぎりとバナナ、お菓子はたまに、がおすすめです。
牛乳は練習の前に飲んでもいいですか
牛乳は脂とたんぱく質が多く、消化に時間がかかります。直前は避けて、練習のあとに。おにぎりと一緒に飲むと、ちょうどよい補食になります。
食が細くて、練習の前に食べたがりません
無理に食べさせなくて大丈夫です。飲むタイプのもの(ゼリー飲料、バナナを牛乳で割ったもの)や、ひと口サイズを少しずつ。前の食事を少し早い時間にずらして、おなかがすく時間を作るのも手です。
summaryまとめ
覚えておく目安は1つの線です。
3時間前はふだんの食事 → 1〜2時間前はおにぎり・バナナ → 30分前はほんの少し → 練習後30分はおにぎり+牛乳
これだけで、「動けない」「おなかが痛い」「夕食まで持たない」はぐっと減ります。子どもが自分で「今日は練習だから、おやつはおにぎりにしよう」と言えるようになったら、食育はもう半分できています。
参考にした資料
- 公益財団法人日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」
- 厚生労働省・農林水産省「食事バランスガイド」
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。








