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その子たちに「ちゃんと飲みなさい」と言っても、次の週も残っています。飲まないのは、意思が弱いからでも、言うことを聞かないからでもありません。飲むためのしかけが無いからです。この記事では、水分の目安の話は短くすませて、飲まない子が飲むようになる「しかけ」を8つ書きます。
- 子どもが水分をとらない、本当の理由
- 水筒・置き場・休憩・声かけで変える8つのしかけ
- 足りているかを、子ども自身が確かめる2つの目安
子どもが飲まない、本当の理由
大人は、のどが渇いたら飲みます。子どもは、違います。
- 夢中になると、渇きに気づかない。遊びの最中の子どもは、空腹も渇きも感じない
- 渇きを感じる力が、まだ弱い。子どもは大人より、渇きのサインが出るのが遅いと言われています
- 飲むと、練習から抜けることになる。列を離れる、ボールを置く、戻ると順番が変わる。飲むことが「損」になっている
- 水筒が遠い・重い・ぬるい・開けにくい。飲む気はあっても、水筒までの手間で止まる
- トイレに行きたくなるのが嫌。とくに女の子、とくに試合の日
どれも「飲みなさい」では変わりません。変えるのは、しかけです。
しかけ① 水筒を、練習の場所に置く

荷物置き場に水筒があると、飲むために往復が要ります。練習している場所のすぐ横に、全員の水筒を並べる場所を作る。コーンで囲っておけば、ボールが当たりません。
しかけ② 飲む時間を、練習の中に決める
「のどが渇いたら飲んで」は、子どもには効きません。15〜20分に1回、全員で同時に飲む時間を、練習のメニューに書いておく。給水の休憩は、コーチが「飲んでいいよ」と言うのではなく、「はい、給水」と号令をかける時間です。
全員で同時に飲むと、「飲むと損」が消えます。誰も練習をしていないので、抜けることにならない。
しかけ③ コーチが先に飲む

子どもは、コーチを見ています。給水の時間に、コーチが自分の水筒を取って、目の前で飲む。それだけで、飲む子が増えます。「飲みなさい」と言いながら自分が飲まないコーチの言葉は、届きません。
しかけ④ 水筒を、飲みやすいものに
家庭でできるしかけです。
- 直飲みか、ストロー。コップに注ぐ形は、手間が1つ多い
- 軽いもの。重い水筒は、持ち上げるのが面倒で飲まない。1リットルの重い水筒より、500mlを2本
- 冷たく。ぬるい水は、子どもは飲みません。氷を入れるか、保冷の水筒に
- 開けやすい。固いふたは、低学年には開けられない。一度、本人に開けさせてみる
しかけ⑤ 味を少しつける
水を飲まない子でも、薄い麦茶や、薄めたスポーツドリンクなら飲む、ということはよくあります。1時間を超える練習や暑い日は、水より少し塩分と糖分の入ったもののほうが、体に残りやすいとされています(日本スポーツ協会のガイドでは 0.1〜0.2% の食塩と、4〜8% の糖分が目安)。市販のスポーツドリンクを水で半分に薄めると、飲みやすく、糖分も控えめになります。
しかけ⑥ 飲んだ量を、見えるようにする
水筒に、マスキングテープで線を引く。「1回目の休憩でここまで、2回目でここまで」。目標が見えると、子どもは飲みます。ゲームにしてもよい。「今日は練習の終わりに、全員の水筒が空になったら勝ち」。
しかけ⑦ トイレの心配を、先に消す
「飲むとトイレに行きたくなる」を理由に飲まない子は、トイレに行っても何も言われないことが分かれば飲みます。練習の最初に「トイレは、いつでも、何も言わずに行っていい」と全員に言う。試合の日は、試合の前にトイレの時間を作る。
しかけ⑧ 家で、朝から飲んでおく
練習の最中に飲む量だけで、足りるものではありません。朝ごはんの汁もの、登校前のコップ1杯、学校での給水。練習の前に、すでに体に水が入っているかどうかで、練習中に足りなくなるかが決まります。保護者にできるのは、ここです。
足りているかを、子ども自身が確かめる
大人が見張り続けるのは無理なので、子どもが自分で確かめる目安を2つ教えます。
- おしっこの色。薄い黄色なら足りている。濃い黄色なら足りていない。トイレで自分で見られる
- 練習の前後の体重。体重の2%以上減っていたら(30kgの子なら600g)、足りていなかった。日本スポーツ協会は、運動による体重の減りを2%以内にとどめることをすすめています
どちらも、子どもに「自分の体のことは、自分で見る」を教える機会になります。
faqよくある質問
飲みすぎて、おなかがタプタプになる子がいます
一度にがぶ飲みすると、そうなります。給水のたびに「コップ半分〜1杯」と量を言う。回数を増やして、1回の量を減らす。がぶ飲みは、給水の間隔が長すぎるときに起きます。
冬は、飲まなくてもいいですか
冬も汗はかいていて、しかも渇きを感じにくいので、夏より飲まなくなります。量は夏より少なくてよいですが、給水の時間は同じように作ってください。温かい飲みものを水筒に入れると、冬は飲みます。
スポーツドリンクを毎日飲ませてもいいですか
練習が1時間以内で、暑くない日なら、水か麦茶で十分です。スポーツドリンクは、長い練習と暑い日の道具。毎日の習慣にすると、糖分の量が気になります。詳しくは別の記事(スポーツドリンクは毎日飲んでいい?)で書きます。
summaryまとめ
- 子どもが飲まないのは、意思ではなくしかけが無いから。夢中・渇きに気づかない・飲むと損・水筒が遠い・トイレ
- しかけは8つ。置き場・飲む時間を決める・コーチが先に飲む・飲みやすい水筒・味・見える化・トイレの心配を消す・朝から飲む
- 足りているかは、おしっこの色と体重の2%で、子ども自身が確かめる
「飲みなさい」を言う回数を減らして、しかけを1つ増やす。そのほうが、飲む量は増えます。
参考にした資料
- 公益財団法人日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(水分補給の目安・体重の減少を2%以内に)
- 環境省「熱中症環境保健マニュアル」
この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。







