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多くのコーチが、自分では「1分くらい」と思っていて、実際には3〜4分話しています。その間、子どもは立っているだけ。低学年なら、最初の30秒で聞くのをやめています。
説明を短くするには、話し方を磨く道もありますが、もっと早い道があります。道具に話させる。この記事では、ホワイトボード・コーン・絵カード・ラインテープの4つを、説明を減らすための道具として使う方法を書きます。
- 口で説明するより、道具に話させたほうが伝わる理由
- ホワイトボード・コーン・絵カード・ラインテープの使い方
- 「説明しないで始める」練習の作り方
耳だけより、目と耳のほうが残る
言葉だけで聞いたことより、絵と言葉を一緒に受け取ったことのほうが記憶に残りやすい、という考え方は、心理学で古くから研究されています(二重符号化と呼ばれます)。練習の説明も同じで、「右から回って、コーンのところで切り返して、戻ってくる」と口で言うより、その形を描いた絵を見せながら言うほうが、はるかに早く伝わります。
もうひとつ、道具には「コーチがいなくても残る」という強みがあります。口で言ったことは消えますが、ホワイトボードに描いたものは、練習のあいだ中そこにある。「次、何だっけ」と聞かれるたびに説明し直す時間が消えます。
道具① ホワイトボード:練習の形を描く

持ち運べる小さいもの(A3くらい)でよい。練習の前に、その日のメニューを順番に、絵で描いておきます。
- 上から順に、①ウォームアップ ②ドリブル ③シュート ④ゲーム、のように
- それぞれの横に、コートの形とコーンの位置を簡単な絵で
- 文字は最小限。低学年には絵だけ
練習の最初に「今日はこれ」と見せて、あとはボードの横に置いておく。説明は、指さしながら「これ、やるよ」で終わります。
ホワイトボードのもうひとつの使い方は、練習の最後の振り返りです。「今日できたこと」を子どもに描かせる。言葉で言えない子も、絵なら描けます。
道具② コーン:色で動く順番を決める
コーンは、場所を示すだけの道具ではありません。色に意味を持たせると、説明が消えます。
- 「青から出発、黄色で切り返し、赤でシュート」。一度決めたら、毎回同じ
- コーンの向きで進む方向を示す(倒したコーンの先が進行方向)
- 2本のコーンのあいだが「門」。門を通る、で説明が終わる
色の決まりを一度作っておけば、「今日は青が2つあるよ」だけで、新しい練習の説明ができます。子どもは、コーンの色を見て動くようになり、コーチの声を待たなくなります。
道具③ 絵カード:低学年に、ステーションに

A5くらいの厚紙に、1枚1つの動きを絵で描いたカード。「スキップ」「ケンケン」「くまさん歩き」「カエル跳び」。ラミネートしておけば、何年も使えます。
使い方は2つ。
- 低学年の説明に。「次、これ」とカードを見せる。文字が読めない子にも伝わる
- ステーションの目印に。場所ごとにカードを置いておく。子どもはカードを見て、そこで何をするかが分かる。コーチが回って説明する必要が無い
絵は上手でなくてよい。棒人間で十分です。むしろ、子どもと一緒に描くと、子どもがカードを覚えます。
道具④ ラインテープ:立つ場所を示す
「もう少し右」「もっと離れて」。位置の指示は、言葉ではいつまでも決まりません。床にテープを貼れば、一度で決まります。
- 列に並ぶ場所に、足の形のテープ
- 2人組の距離に、2本の線
- ゴールまでの距離に、3段階の線(近い・中・遠い)
体育館なら、はがせる養生テープ。屋外なら、ラインマーカーか、コーンで代用。「線のところに立って」で、位置の説明が終わります。
「説明しないで始める」練習
道具がそろうと、練習の始め方を変えられます。説明してから始めるのではなく、始めてから、動きながら直す。
- ボードに今日の形を描いておく。コーンを並べておく
- 子どもが来たら、「ボードを見て、青のコーンからスタート」だけ言う
- 動き始めた子を見て、違っていたら、その子にだけ「黄色で切り返しね」
- 全員が動いたら、全体を止めて、1つだけ直す(30秒)
最初から全部正しくやらせようとすると、説明が長くなります。まず動かして、動きながら直すほうが、結果として速く正しい形になります。待ち時間の話は、別の記事(待ち時間ゼロの練習)にも書きました。
faqよくある質問
絵が下手で、描けません
棒人間と丸と矢印だけで描けます。コーンは三角、ボールは丸、人は棒。上手い絵より、毎回同じ描き方のほうが大事です。子どもは、絵の上手さではなく、記号として覚えます。
屋外で、ホワイトボードが使えません
クリップボードに紙を挟んで、同じことができます。雨の日は、紙をジッパー付きの袋に入れる。コーンとテープは屋外のほうが使いやすいので、ボードが無くても道具は3つ残ります。
道具を用意しても、子どもが見ません
最初は、見る練習が要ります。「ボードを見て、次に何をするか言える人?」と、見ることを練習の一部にする。2〜3回で、言われなくても見るようになります。見ない子は、見なくても分かる(説明してもらえる)と学んでいるので、説明をやめることが先です。
summaryまとめ
- 説明を減らすには、話し方を磨くより道具に話させる。目と耳の両方のほうが残り、コーチがいなくても残る
- ホワイトボードで形を描く/コーンの色で順番を決める/絵カードで低学年とステーションに/ラインテープで立つ場所を示す
- 道具は練習の15分前に用意する。それが練習中の説明を減らす
- 説明してから始めるのではなく、始めてから動きながら直す
話す時間が減ったぶん、見る時間が増えます。コーチの仕事は、話すことより見ることです。
参考にした資料
- Paivio, A. (1986). Mental Representations: A Dual Coding Approach. Oxford University Press.
この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。







