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このとき、親の頭には2つの答えが同時に浮かびます。「ここまでやったんだから続けなさい」と、「そんなに嫌なら、やめてもいいよ」。どちらも、その場で言いたくなる。そして、どちらも早すぎます。
「やめたい」は、結論ではなく、何かが起きているという合図です。合図を受け取ったら、まず何が起きているかを聞く。この記事では、やめたい理由を3つに分けて聞く方法と、それぞれで変わる答え方を書きます。
- 「やめたい」にすぐ答えないほうがよい理由
- やめたい理由を3つに分けて聞く方法と、それぞれの答え方
- 「区切りまで」の決め方と、やめたあとの関わり方
すぐ答えない
子どもが「やめたい」と言ったとき、まずやることは、答えないことです。「そうか。やめたいんだね」。それだけ言って、続きを待つ。
子どもは、答えを求めているのではなく、言ってみたのです。言ってみて、親がどう反応するかを見ている。ここで「続けなさい」と言えば、次から言わなくなります。「やめよう」と言えば、言えば何でも通ると学びます。「そうか」で止めて、続きを待つ。続きが出てこなければ、「明日、もう少し聞かせて」で、その夜は終える。
答えは、理由が分かってからでよい。急ぐ必要はありません。
理由を3つに分けて聞く

やめたい理由は、だいたい3つに分かれます。どれかによって、答え方が変わります。
① 一時的なつらさ:疲れている・できない・負けた
試合で負けた、選抜に入れなかった、新しい練習ができない、体が疲れている。こういう「いまがつらい」から来る「やめたい」です。いちばん多い。
聞き方:「最近、いちばん嫌だったのは何?」。具体的な出来事が出てきたら、これです。
このときの「やめたい」は、その出来事への反応で、競技そのものへの気持ちではありません。答え方は、「いまは嫌なんだね」と受け止めたうえで、すぐ決めない。「来月の試合まではやってみて、それでもやめたかったら、もう一度話そう」。区切りを置くと、たいてい区切りの前に、気持ちが変わっています。
② 人間関係:友だち・コーチ
仲の良かった子がやめた、いじわるをされている、コーチが怖い、グループ分けでいつも余る。競技は好きだけど、そこにいるのがつらい。
聞き方:「練習で、誰といることが多い?」「コーチに言われて、嫌だったことある?」。
これは、本人の努力で変わらないことが多い。答え方は、まず環境を変える手を探す。コーチに相談する、曜日を変える、クラスを変える、別の教室を見てみる。「やめる」と「続ける」のあいだに、「場所を変える」があります。競技が好きなら、場所を変えて続ける道を先に探す。
③ 興味の変化:ほかにやりたいことがある
「サッカーより、ダンスがやりたい」「友だちがやっている野球に行きたい」。嫌なことがあるのではなく、別のほうに気持ちが動いている。
聞き方:「やめたら、何をしたい?」。すぐに答えが返ってくるなら、これです。
答え方は、本気で聞く。「ダンスの何がいいの?」「どこでやれるか、調べてみようか」。この場合、やめることは後退ではなく、次への移動です。親が「せっかく続けてきたのに」と止めると、子どもは、自分のやりたいことが親に否定されたと受け取ります。
「区切りまで」の決め方
①の場合、区切りを置くのが基本です。区切りの決め方は、子どもと一緒に。
- 期限を決める:「来月の試合まで」「3月まで」
- 期限が来たら、必ず話す:「そのとき、また聞くね」と約束し、忘れずに聞く
- 期限の前に、何を見るかを決める:「それまでに、1回でも楽しいと思えたか」
「3月まで」と決めて、3月になったら本当に聞く。これをしないと、「区切り」は「先延ばし」になります。3月に本人がやめたいと言ったら、そのときはやめてよい。約束は守る。
「やめ癖がつく」という心配

「一度やめさせると、嫌なことがあるたびにやめる子になる」。よく言われますが、はっきりした根拠があるわけではありません。
やめ癖がつくのは、「嫌だと言えば、すぐにやめられた」という経験の積み重ねです。区切りを置いて、理由を聞いて、話し合ってやめたなら、それは「やめ癖」ではなく、「決め方を学んだ」ことになります。問題はやめることではなく、決め方です。
やめたあとの関わり方
やめると決まったら、最後の日を大事にします。コーチに本人からあいさつをさせる。「ありがとうございました」が言えた子は、次の場所でも、きちんと始められます。
そして、やめたあとに、「あのとき続けていれば」と言わない。これを言うと、子どもは次に何かを始めるのがこわくなります。やめたことは、終わった決定です。
faqよくある質問
月謝を払っているのに、本人がやる気がありません
月謝の話を、本人にはしないほうがよいと思います。「お金を払っているんだから」は、子どもには重すぎる。やる気の話は、別の記事(「やる気がない」の裏にあるもの)に書きました。やめるかどうかより先に、やる気の条件を見てください。
本人は続けたいと言いますが、親としては、合っていない気がします
本人が続けたいなら、続けさせてよいと思います。「合っているか」は、親より本人のほうが分かっていることが多い。心配なら、コーチに「うちの子、楽しそうですか」と聞く。楽しそうなら、それが答えです。
コーチに「やめます」と伝えるのが、気まずいです
本人の口から伝えさせるのがいちばんですが、親からの連絡も必要です。「本人がやめたいと言い、話し合ってそう決めました。お世話になりました」。理由を細かく書く必要はありません。コーチの側は、やめる子を見慣れています。気まずいのは、たいてい親の側だけです。
summaryまとめ
- 「やめたい」は結論ではなく、合図。すぐ答えず、「そうか」で止めて、理由を聞く
- 理由は3つ。一時的なつらさ(区切りを置く)・人間関係(場所を変える手を探す)・興味の変化(本気で聞く)
- 区切りは子どもと決め、期限が来たら必ず話す。そのときやめたいなら、やめてよい
- 「やめ癖」は、やめることではなく、決め方で決まる。やめたあとに「続けていれば」と言わない
やめるかどうかより、どう決めたかが、その子に残ります。
この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。







