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文部科学省の「幼児期運動指針」は、3〜6歳の子に毎日合計60分以上、楽しく体を動かすことをすすめています。60分と聞くと長いですが、これは「合計」です。公園で遊ぶ時間、歩いて帰る時間、そして家の中の10分。ぜんぶ足して60分。この記事は、その10分のぶんを、道具なし・準備なしで埋めるためのものです。
- 幼児期〜小学校低学年に身につけたい動きの3つのグループ
- 家にあるものでできる運動あそび10個と、それぞれで育つ動き
- 10分で組む順番と、続けるためのコツ
育てたい動きは、3つのグループ
幼児期から小学校の低学年にかけて身につけたい動きは、研究者によって「36の基本動作」としてまとめられています(山梨大学の中村和彦教授らの整理)。36もありますが、大きく3つのグループで覚えれば十分です。
- 体のバランス … 立つ・座る・回る・ぶらさがる・逆立ちする
- 体を移動する … 走る・跳ぶ・くぐる・よける・のぼる
- ものを操作する … 投げる・捕る・蹴る・つく・運ぶ・引く
スポーツ教室では「移動」と「操作」はよくやります。家で足しやすいのは、意外とバランスとものを操作するの細かいところです。下の10個は、その3つがまんべんなく入るように選びました。
10のあそび

1. 新聞紙ボールの玉入れ【操作】
新聞紙を丸めてボールを3つ作る。洗濯かごを置いて、3歩はなれたところから投げ入れる。入ったら1歩うしろへ。下から投げる・上から投げるを両方やる。
2. タオルの綱引き【操作・バランス】
タオルの両端を持って、座ったまま引き合う。立ってやると倒れて危ないので、座って。おしりが浮いたら負け。
3. 座布団の川とび【移動】
座布団を2枚、少しはなして置く。「川」を跳び越える。はなす幅を少しずつ広げる。着地でひざを曲げて音を小さく、が合格の条件。
4. ペットボトルボウリング【操作】
空のペットボトルを3〜6本立てて、新聞紙ボールを転がして倒す。利き手でないほうでもやる。
5. 新聞紙を落とさない【バランス】
新聞紙を1枚、おなかに当てて、手を離して歩く。落ちないように、少し前かがみで速く歩く。走ると落ちない。止まると落ちる。
6. タオル引き抜き【反応】
床に置いたタオルの両端を、親と子で片手で押さえる。「せーの」で親が引く。子は踏むか、押さえるか。合図を「いち、に、さん」「ぱん」「ねこ」のように変えると、聞いて反応する練習になる。
7. 片足立ちで歯みがき【バランス】
歯みがきの時間を使う。右足で30秒、左足で30秒。慣れたら目をつぶる。道具なしで毎日できる、いちばん続くあそび。
8. 廊下でだるまさんがころんだ【移動・バランス】
短い廊下でも、3〜4歩の往復で十分。「止まる」の練習です。止まるとき、変なポーズで止まる決まりにすると、バランスの練習になる。
9. くつ下玉のキャッチ【操作】
くつ下を丸めて玉にする。親が投げて、子が捕る。慣れたら自分で上に投げて、1回手をたたいて捕る。
10. 座布団トンネルとまたぎ【移動】
座布団を立てて、椅子に寄せてトンネルを作る。くぐって、戻りは座布団をまたいで越える。くぐる・またぐは、ふだんの生活からいちばん消えた動きです。
10分の組み方
全部やる必要はありません。3つ選んで、3分ずつ。選ぶときの決まりは1つだけで、「3つのグループから1つずつ」。たとえば、玉入れ(操作)+川とび(移動)+片足歯みがき(バランス)。
順番は、動きの大きいものを先に、静かなものを最後に。夕食前なら、川とび → 玉入れ → 新聞紙を落とさない、の順。寝る前なら、川とびは外して静かなものだけ。
親も一緒にやってください。見ているだけより、親がやって失敗するほうが、子どもは何倍も喜びます。
安全のために

- 家具の角のそばでは跳ばない。川とびは、まわりに何もない場所で
- 床がすべるなら、くつ下を脱ぐ
- 綱引きは座って。立って引き合うと、手を離したほうが倒れる
- タオルを首にかけない
faqよくある質問
マンションで、下の階に音が響きます
跳ぶものを外して、バランスと操作だけで組んでください。片足立ち・玉入れ・くつ下キャッチ・新聞紙を落とさない・タオル引き抜き。これだけで5つあります。跳ぶのは公園で。
兄弟で年齢が違います。同じあそびができますか
同じあそびで、条件を変えます。玉入れなら、上の子は5歩うしろから、下の子は2歩から。川とびなら、座布団の幅を2通り置く。「下の子に合わせる」と上の子が退屈し、「上の子に合わせる」と下の子ができません。同じ場所で、違う難しさ。
続きません
「毎日やる」と決めると続きません。決めるのはきっかけだけ。「歯みがきは片足」「お風呂の前に川とび3回」。生活の中の決まった場面にくっつけると、やる気に頼らなくてよくなります。
summaryまとめ
- 幼児期は毎日合計60分体を動かす。家の中の10分も、その一部
- 育てたい動きはバランス・移動・操作の3グループ。家では、バランスと操作の細かいところを足しやすい
- 10のあそびから3つ選んで3分ずつ。3つのグループから1つずつ
- 親も一緒に。「運動」ではなく「遊び」。きっかけを生活の場面にくっつける
新聞紙3枚と洗濯かごで、今日から始められます。
参考にした資料
- 文部科学省「幼児期運動指針」(2012年)
- 中村和彦(山梨大学)による「36の基本動作」の整理(『運動神経がよくなる本』ほか)
- 世界保健機関(WHO)「身体活動・座位行動ガイドライン」(2020年)
この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。








