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目標の立て方。子どもと一緒に決める「できた」の形と、2〜4週間の区切り

新学期の最初の練習で、コーチが「今年の目標を書こう」と紙を配った。出てきたのは「頑張る」「うまくなる」「レギュラーになる」。3か月後、その紙を見た子はいません。

  • 対象指導者・保護者
  • 読む目安約6分
  • 区分読みもの・心・メンタル

公開 2026.11.06 / plax labo 編集部

目次

「頑張る」「うまくなる」は、目標ではなく願いです。願いが悪いのではなく、できたかどうかが分からないので、行き先として働かない。この記事では、目標に要る形、3種類の目標、子どもと一緒に決める手順、区切りの長さを書きます。

point
  • 「頑張る」が目標にならない理由と、目標に要る「できたかどうかが分かる形」
  • 結果・成果・過程の3種類の目標と、子どもに向く組み合わせ
  • 子どもと一緒に決める手順、2〜4週間の区切り、達成したあとの次の決め方

目標は「できたかどうかが、誰にでも分かる形」

目標の研究で長く引用されるのは、Locke と Latham の整理です(2002)。何百もの研究をまとめた結論は、具体的で、少し難しい目標が、「ベストを尽くせ」や目標なしより、一貫して成績を上げる、というものでした。「頑張る」は「ベストを尽くせ」と同じで、効かない側です。

具体的、とは「できたかどうかが誰にでも分かる」ということです。

  • 「うまくなる」→「前跳びを、ひっかからずに30回」
  • 「速くなる」→「50メートル走を、今より0.3秒速く」
  • 「レギュラーになる」→ これは本人が決められない(下で書きます)

少し難しい、とは「いまはできないが、2〜4週間練習すればできそう」の大きさです。いまできることは目標にならず、半年かかることは遠すぎて途中で消えます。

目標は3種類ある。子どもに向くのは、後ろの2つ

画鋲

スポーツ心理学では、目標を3つに分けます(Kingston & Hardy, 1997 ほか)。

  1. 結果の目標。試合に勝つ、レギュラーになる、大会で入賞。相手や選ぶ人がいるので、本人だけでは決められない
  2. 成果の目標。自分の記録。「前跳び30回」「50メートル走 9.5秒」「リフティング20回」。本人の努力で届く
  3. 過程の目標。やり方・取り組み。「着地でひざを曲げる」「練習の前に水を飲む」「週に2回、家で5分」。今日からできる

結果の目標だけを持つと、勝てなかった日に何も残りません。結果は見せる・過程は言葉にする、という話を別の記事(勝ち負けとどう向き合わせるか)に書きましたが、目標でも同じです。子どもに向くのは、成果の目標を1つ、過程の目標を1つの組み合わせです。結果の目標は「あったらいい」の位置に置き、達成の判定には使いません。

大人が決めた目標は、効かない

目標を大人が決めて渡すと、子どもは「やらされること」として受け取ります。自分で選んだことにしか、人は本気を出しません。かといって、低学年の子に「目標を決めて」と白紙を渡すと、「頑張る」が返ってきます。

間を取る手順はこれです。

  1. コーチが候補を2〜3個出す。その子の今の段から、2〜4週間で届きそうなものを。「前跳び30回」「あや跳び5回」「二重跳び1回」
  2. 子どもが1つ選ぶ。選ばせるだけで、「自分の目標」になります
  3. 過程の目標を1つ、一緒に足す。「それができるために、毎回の練習で何をする?」。出てこなければ、「縄を回し始めてから跳ぶ、を毎回意識する」のように、コーチが言葉にして「これでいい?」

「もしこうなったら、こうする」の形で練習の中の行動まで決めておくと、目標は実行されやすくなります(実行意図・Gollwitzer & Sheeran, 2006 のメタ分析で中〜大の効果)。「練習の最初の5分は、縄なしでリズムを取る」。目標と行動を、1組にしておく。

区切りは2〜4週間。見える場所に貼る

小さな旗

目標の期限は、2〜4週間が目安です。1週間は短すぎて変化が出ず、2か月は長すぎて忘れます。月の初めに決めて、月末に見る、くらいの長さ。

決めた目標は、見える場所に貼ります。教室なら壁の名前の横、家なら冷蔵庫。見えないところにある目標は、無いのと同じです。貼り方は、「前跳び30回」の下に、練習のたびに今日の回数を書く。数字が並ぶと、本人が伸びを見ます。

達成したら、その場で次を決めます。「30回できた。次は、50回? あや跳び5回?」。達成の直後が、いちばん次の目標を決めやすい瞬間です。達成しなかったら、目標を下げるのではなく、期限を延ばすか、過程の目標を見直す。「あと2週間」「練習の最初の5分の使い方を変えよう」。

faqよくある質問

子どもが「試合に勝つ」を選びます

選んでかまいません。そのうえで「勝つために、自分の記録で何を上げる?」「練習で何をする?」と、成果と過程の目標を足してください。結果の目標は本人が決められないので、達成の判定は成果と過程でやる、と伝えておきます。

全員ぶんの目標を追えません

目標は貼っておけば、追うのは子ども自身です。コーチがやるのは、月に1回、全員の紙を一緒に見る時間を5分取ること。毎回の練習で全員を確認する必要はありません。

幼児にも目標は要りますか

言葉の目標は要りません。「今日はこれをやってみよう」と、その日の挑戦を1つ渡すだけで十分です。2〜4週間の目標が意味を持つのは、小学生からです。

summaryまとめ

  • 「頑張る」は願い。目標には できたかどうかが誰にでも分かる形 が要る
  • 目標は 結果・成果・過程 の3種類。子どもに向くのは 成果1つ+過程1つ。結果は判定に使わない
  • 大人が決めた目標は効かない。コーチが候補を出し、子どもが選び、過程を一緒に足す
  • 区切りは 2〜4週間。見える場所に貼り、練習のたびに今日の数字を書く
  • 達成した直後に次を決める。達成しなければ、下げるのではなく期限か過程を見直す

目標は、紙に書くものではなく、毎回の練習で見るものです。見えていれば、子どもは自分で追います。

参考にした資料

  • Locke, E. A., & Latham, G. P. (2002). Building a practically useful theory of goal setting and task motivation: A 35-year odyssey. American Psychologist, 57(9), 705–717.
  • Kingston, K. M., & Hardy, L. (1997). Effects of different types of goals on processes that support performance. The Sport Psychologist, 11(3), 277–293.
  • Gollwitzer, P. M., & Sheeran, P. (2006). Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69–119.

この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。

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