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教室の運営者なら、一度は聞いたことのある話だと思います。競技の技術と、子どもを教える力は、別のものです。しかも、面接で分かるのは前者だけで、後者は子どもの前に立たせてみないと分からない。この記事では、面接で聞くこと・体験練習で見ること・採用したあとにやること、の3段階で、子どもを見る目をどう確かめるかを書きます。
- 競技歴や肩書きが、コーチの力をほとんど表さない理由
- 面接で聞く5つの質問と、体験練習で見る7つのポイント
- 採用したあとの最初の3か月で、教室がやること
肩書きが表しているもの、表していないもの
競技歴や資格は、こういうことを表しています。「その競技を、本人がどこまでやったか」「ルールと技術を知っているか」。これは大事です。知らない人には教えられません。
でも、こういうことは表していません。
- 6歳の子に、どの言葉で伝えるか知っているか
- 列の後ろでふざけている子を、どう見ているか
- 泣いている子に、何をするか
- 「痛い」と言った子を、休ませられるか
- 保護者に、何をどう伝えるか
教室で起きる問題のほとんどは、後者から来ます。技術が足りなくて苦情が来ることは、ほぼありません。苦情は、言葉・態度・安全の構えから来ます。だから採用で確かめるのは、後者のほうです。
面接で聞く5つの質問

技術の話は、5分でよい。残りの時間は、この5つを聞きます。答えの中身より、答え方を見てください。
① 「自分が子どものころ、いちばん嫌だったコーチは、どんな人でしたか」
「いなかった」と答える人は、子どもの側から指導を見たことがない人かもしれません。嫌だったコーチの話を具体的に話せる人は、子どもの側の記憶を持っています。
② 「10人のうち1人が、ぜんぜんできません。どうしますか」
「個別に教えます」は、ふつうの答え。「残りの9人を動かしたまま、1人を見る形を作ります」「課題を小さく割ります」まで出てくれば、現場を見ている人です。「できるまでやらせます」は、要注意。
③ 「練習中に、子どもが『痛い』と言いました。どうしますか」
「様子を見ます」「大丈夫か聞きます」で止まる人より、「その場で止めて、場所を押して確かめて、保護者に伝えます」まで言える人。安全への構えは、ここで分かります。
④ 「保護者から『うちの子を試合に出してほしい』と言われたら」
「出します」も「出せません」も、答えとしては早い。「なぜそう思うか聞いて、本人の様子を伝えて、教室の決まりを説明します」。保護者との話し方が、ここで分かります。
⑤ 「怒鳴ったことはありますか。どんなときですか」
「ありません」と即答する人は、自分を振り返っていないか、正直でないかのどちらかです。「あります。あのときは…」と話せる人のほうが、自分の怒りを知っています。コーチの怒りの話は、別の記事(コーチ自身の心の余裕)に書きます。
体験練習を1回、任せて見る
面接で確かめられるのは、ここまでです。あとは子どもの前に立たせるしかありません。採用を決める前に、必ず1回、練習の一部(20〜30分)を任せてください。運営者は横で見て、この7つをチェックします。
- 名前を呼んだか。20分で、何人の子の名前を呼んだか。呼べるように、名札か名簿を渡しておく
- 説明の長さ。最初の説明が1分を超えたら、長い
- 待っている子を見ているか。動いている子だけを見るコーチは、列の後ろを見ない
- できない子に、何をしたか。放置か、怒ったか、課題を変えたか
- 声の大きさと、言葉。「ちゃんと」「しっかり」が多いか、動きの言葉(「ひざを曲げて」)か
- ケガや危険への反応。コーンが倒れた、子どもがぶつかった。そのとき、何をしたか
- 終わったあと、子どもが笑っていたか。これがいちばん正直な評価
7つのうち、1・3・4・7が良ければ、採用してよいと思います。2・5は、あとから直せます。6が悪ければ、見送ります。
採用したあとの3か月

採用は始まりで、育てるのは教室の仕事です。最初の3か月は、この3つを決めておきます。
- 1人で任せない。最初の1か月は、必ず運営者か先輩コーチと一緒に。2か月目から、練習の半分。3か月目から、1回まるごと
- 月に1回、15分話す。「うまくいったこと」「困ったこと」「子どもで気になる子」の3つだけ。評価ではなく、聞く
- 教室の決まりを、紙で渡す。叱り方・ケガの対応・保護者への連絡・休講の決まり。口で言ったことは、残りません
最初の3か月で、そのコーチが教室に合うかどうかは、だいたい分かります。合わなければ、3か月目の面談で伝えます。半年、1年と延ばすほど、お互いにつらくなります。
faqよくある質問
競技経験の無い人でも、コーチになれますか
低学年の教室なら、なれます。要るのは、競技の技術より、子どもを見る目と、基本の動きを教える力です。高学年・中学生の技術指導には競技経験が要りますが、そこは役割を分けられます。経験の無い人をアシスタントから始めて、育てる道もあります(別の記事に書きます)。
人手が足りなくて、選べる状況ではありません
選べないときほど、6(安全)だけは譲らないでください。ほかは育てられますが、安全への構えが無い人を子どもの前に立たせると、取り返しがつかないことが起きます。人手が足りないなら、練習の人数を減らすほうが、安全への構えの無い人を採るよりましです。
資格は見なくていいですか
日本スポーツ協会などの公認指導者の資格は、安全やコーチングの基本を学んだ証なので、あれば安心材料になります。ただ、資格が無いから駄目、資格があるから大丈夫、とは言えません。資格は、上の7つの代わりにはなりません。
summaryまとめ
- 競技歴は「競技を知っているか」を表す。子どもを見る目・言葉・安全・保護者対応は表さない
- 面接では5つの質問で、答え方を見る。嫌だったコーチ・できない子・痛いと言った子・保護者の要望・怒鳴った経験
- 体験練習を1回任せて、名前・説明の長さ・待っている子・できない子・言葉・危険への反応・子どもの笑顔を見る。安全だけは譲らない
- 採用後3か月は、1人で任せない・月1回15分話す・決まりを紙で渡す
コーチの技術は、入会したあとに保護者が知ることです。採用で見るのは、その前の7つです。
採用したコーチに任せる範囲(名簿・保護者への連絡・シフト・レッスン)を段階で広げたい教室は、スポーツ教室向けの運営システム のびしろプラス のコーチの権限の設定も参考にしてください。
参考にした資料
- 公益財団法人日本スポーツ協会「公認スポーツ指導者制度」「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」(2013年)
この記事の内容は公開時点のものです。公開されている研究や公的な資料をもとに plax labo 編集部が書いています。体調・ケガ・食事に関わる個別の判断は、医師や専門家にご相談ください。







